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[写真]大の葬祭やよい / 再生建築

大の葬祭やよい / 再生建築

 大の葬祭やよいは、大分県佐伯市に立地している。かつては、ホテルであったものを葬祭場へとコンバージョンを図った建物である。当該敷地には、ホテルの他に、別棟でレストラン及び住宅が配置されてた。このような状況の中で、祭場に必要な面積及び駐車台数、そして既存建物の構造的・設備的な老朽化を検討し、レストラン及び住宅は解体し、駐車場を確保することとなった。残ったホテルについては、用途変更及び増築による確認申請の手続きを行い、2つの式場を持つ葬祭場へと生まれ変わることが可能になった。コンバージョン事業には、実現に当たり様々な困難な状況が生まれるが、構造面、消防面、その他の法的問題をクリアし、実現に至ったことには、今後の事業展開に際しても、とても価値のあることであると感じている。
 コンバージョンという試みは、既存の建物(ホテル)の持っている空間的な特性を見極め、必要なものと不必要なものを十分な検討の上、取捨選択することが重要であり、この選択を間違わないようにすることが、事業における採算性を考える上でも大切である。その中で本計画では、ホテルならではの充実した個室空間、そして水回りなどを含めた設備系統などを活用しながら計画を進めていった。
 1階には、増築により大祭場を確保し、既存部分を利用して、ロビー・事務室・会食室・導師控室・トイレなどの諸室を配置している。地域性を考慮し、「和の空間」にテーマを置き、木格子天井のロビー、そして、和紙アクリルによる光天井をあつらえた大祭場の空間を実現している。ロビーと大祭場を隔てる仕切りには、14枚の障子戸を使用し、大人数時には、障子戸を開放することでロビーと一体となった利用が可能になるよう配慮している。また、会食室には、70人が一度に食事をすることが可能な広さを確保し、地域性に配慮した計画となっている。さらに、エントランスには、7メートルの片持ち梁によるキャノピー空間を実現し、機能的に出棺の儀を執り行うことのできるように建築的解決法を施している。
 2階には、ホテルの個室を活用し、5つの部屋を配置している。安置室、そして和室・洋室からなる控室として、再構成している。キッチン、浴室、トイレ、ベッドールームなどを備え、現代のニーズに合うよう配慮した住宅のような空間づくりをしている。
 3階には、広々としたリビングルームを持つ、家族葬専用のフロアとなっている。オープンキッチン、浴室、男女各トイレ、ベッドルームも併設し、より贅沢に、そして快適に過ごすことのできる空間となっている。
 さらに、今回は、当初ホテルには無かったエレベーターを増設している。3階フロアを家族葬専用フロアとしたことと同時に、高齢化時代と地域性を踏まえての設置である。地域の状況を把握し、分析を行った上で計画を進めることは、葬祭場の建設に当たっては、最重要項目であると思われる。このように、大の葬祭では、地域住民の利便性に配慮した空間の実現、そして、各種イベントなどを通じた地域に開かれた施設づくりが持続的に行われている。

Before

Data / データ

敷地面積
1017.68m²(307.84坪)
建築面積
517.69m²(156.60坪)
延床面積
995.40m²(301.10坪)
建築場所
大分県佐伯市
構造
鉄筋コンクリート造・鉄骨造
規模
地上3階
竣工
2013年4月

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